被害の実態

~ 言葉だけが一人歩きしている日本の国際化・グローバル人材の育成を問う ~

≪実際にあった被害やトラブル事例≫

以下の事例から、本人にはまったく責任の無いことで子供がトラブルに巻き込まれていることがわかります。高校生の交換留学制度が、大人の無知と無責任から当初の理念を失い、本来の機能を果たせていないことが原因だといえます。

(注)当サイトに寄せられた被害報告および相談、私が実際に経験したものや見聞きしたもの、元斡旋団体員、留学関係者からの情報です。重複を避けるため、よく似た事例は代表的なものだけにしました。なお、情報提供があっても信頼度に欠けるもの、相談者が掲載を望まないもの、サイト上での公開がためらわれる内容については除いています。

・クレームを「高留連」に報告すると、どういうわけかその斡旋団体の代表から電話がかかってきて怒鳴られた。

・24時間サポート体制のはずが、ホストでさえも現地スタッフと連絡がとれなかった。留守電に伝言をいれても返事もこなかった。日本の親からの急用の電話も現地スタッフは無視した。

・地元でダストセンターといわれている、移民したばかりで英語が話せない子や不登校児など問題のある子が通うところに行かされ、授業らしいものは無かった。そのあと中国人ばかりが通うスクールにも行かされ、正規の高校に行けたのは5ヶ月後だった。

・娘には軽いアレルギーがあったが、斡旋団体から対応できるといわれたので留学させた。しかし、ステイ先には猫がいてホストはヘビースモーカーだった。他にホスト家庭が見つからなかったので子供は我慢していたが、重症化して現地の病院に通院することになった。

・現地入りしたもののホスト家庭が見つからず、同じ斡旋団体の日本人留学生と一緒にさせられた。現地スタッフに抗議すると我慢できないなら帰国するしかないと言われた。親が留学団体に抗議したものの何ヶ月もそのままにされ、そのあいだずっと現地スタッフから暴言を浴びせられ続けた。事前のオリエンーテーションでは、現地で日本人留学生と会っても言語習得の妨げになるから離れるように言われていたことと矛盾している。

・留学団体からの入金が遅れたので(無償のホストのはずなのに)ホストから出て行くようにいわれた。団体側はすぐに支払うといいながら再度支払いが遅れ、そのことでホストとの関係が悪くなりチェンジしなければならなくなった。

・ホスト家庭も学校も見つかっていないのに子どもを現地に送り込むという、見切り発車が当たり前に行なわれている。

・説明会での話しとあまりにも違うホスト先だったので留学団体に変更を言うと、それなら私費留学するしかないといわれた。追加料金を払わないとホストチェンジできないことなど事前の説明会では聞いていない。初めから私費留学ありきだったのかもしれない。

・現地の交流団体は、前年に問題があったホスト先に生徒を送り込んでおきながら(後でわかった)、問題が生じるとまるで知らなかったかのように責任逃れをする。

・ホスト家庭は経済的に困窮状態だった。生活レベルが著しく低く、部屋中に汚物が散乱して冷蔵庫の中もハエだらけで、胃腸の調子も優れず体調が悪くなった。

・必ずいるはずのリエゾンパーソンと呼ばれている現地担当者が決まっておらず、トラブルの際に相談できなかったので支部に連絡してみたが返事は来なかった。親に連絡して親から団体に言ってもらう方法しかなかった。

・ひどいホスト家庭にいる私のことを心配して自宅に預かってくれるという学校の友人の話を、現地の担当者が友人宅と大喧嘩して潰してしまった。

・ホスト先の食事が、数年前に賞味期限が切れている冷凍食品ばかりだと現地スタッフに言ったら、無理やり頼まれて預かったのだから文句あるなら出て行けと、ホストに逆切れされた。

・ホスト家族が、マリファナやドラッグ等の愛好者だった。*

・ホストマザーとファザーがいないときに、ホストブラザーにレイプされそうになった。当時は体調不良でボーツとしたのかと思っていたが、後年、セックスドラッグといわれるレイプ目的のためのドラッグ入りの飲み物を飲まされたのだとわかった。

・ホストから家族として紹介されない男性が地下室に住んでいて気持ち悪かった。*

・男の子のホストファミリー(ホストはひとり暮らし)がホモセクショナルだった。

・ホスト家庭には二人の留学生がいた。空き部屋がないということで、物置に使っている地下室に入れられた。くもの巣と虫だらけで幽霊屋敷のようだった。

・ホストファミリーが説明会で聞いた話と全然違っていたので、現地の担当者に変えてくれるように頼んだところ、なまいきだと言われ日本に帰るよう指示を受けた。

・団体関係者が子供の目の前で、ホストに現金(ホストは無償受け入れのはずなのに)を投げ捨てるように渡す。*

・シャワーで水を使いすぎる、アルコールを飲んだと嘘の証言までされ、一ヶ月も経たないうちに一方的に強制帰国させられた。あとでステイ先の家がネット上で売り物件になっていることがわかった。

・受入れ校は正規の高校であるはずなのに、行かされたのは美術学校だった。

・団体側の確認ミスで聴講生扱いになっていたため、成績証明書が得られず留学先での単位が在学校で認められなかったため留年となった。

・到着してからホストファミリーが決まっていないと告げられ、現地スタッフ宅から学校に通っていた。数ヵ月後にはその現地スタッフからホスト先を自分で捜すように言われた。

・団体からの支払いが遅れ家を追い出されることになった。現地スタッフからホストファミリーを自分で探すようにいわれたので、学校の友達や先生に相談して預かってもらえるところを見つけた。ところが翌日になって現地スタッフが、預かってもらう話を潰してしまった。後になってわかったことだが、現地スタッフが別のホストファミリーを見つけたからで、相談した学校の友達や先生には、あの子は嘘つきだと言いふらされていたこともわかった。

・毎日、家族全員の皿洗い、洗濯、風呂や部屋の掃除までさせられ使用人のように働かされた。

・ホストファミリーといっても、留学生の下宿代をあてにしている国際交流など興味のない一人暮らしのお年寄りだった。生活費の足しに複数の留学生を受け入れていた。

・無償受入れのはずなのに留学団体からのお金が滞っているからと、学生にお金を要求したり追い出すというホストもいた。

・ホストファミリーもホスト校も無料の受け入れと聞かされていたのに、学校から授業料が支払われていないと告げられた。斡旋団体に問い合わせると学校には2週間以内に送金すると答えたが、学校からはこのまま入金がないと強制送還すると言われているのでものすごく心配だ。

・ホスト先がイギリスやカナダのように英語圏であっても、英語を全く話さないファミリーもいるので英語の勉強にはならない。*

・ホスト先の審査など行われておらず、新聞広告で募集して簡単に決めていた。預かってくれるところならどこでもOKで募集をかけていた。

・留学前に団体側に提出した書類(ホストへの手紙等)がホスト先には届いてなかった。お金目当てで受け入れているホストにしてみれば子供の手紙なんかどうでもいいことなのかもしれないが。

・有償のホスト家庭にダブルステイ(同じ留学団体の生徒二人ずつステイさせる)していた生徒の片方の親が、ホストに高価なプレゼントを持っていったことで、ホストの子供へのえこひいきがはじまった。

・派遣先タイでのホスト家庭があまりにも貧しく衛生状態も酷かったので変更してもらったが、2度目のところも同様だったので1ヶ月も経たないで帰国することになった。

・強制帰国(留学プログラム離脱)となった理由が生徒本人にもわからず、留学団体側からも明らかにされなかった。

・留学費用を全額支払った途端に団体の対応が一変して命令口調になった。

・たび重なる団体側のミスや嘘から不信感を抱いたので解約を求めたところ、返金には一切応じないどころか反対に脅かされてしまった。

・ホストファミリー先が怪しげな格好をした信者らが集まる新興宗教の拠点だった。

・宗教を強制されたことを地域カウンセラーに相談したことで、ホストからあることないこと言われ、問題児として現地処理され一ヶ月も経たないうちに早期帰国させられた。

・現地カウンセラーや現地ホストは、日本の団体からの支払い(ホストは無償受け入れのはずなのに)が滞ると、そのはけ口を留学生に向け、悪口を言い、辛く当たったり出て行けと言う。

・ホストファザーから猥褻行為を繰り返し受けている。現地担当者にこのことをしゃべったら、情緒不安定だと言って精神科医に連れて行くと脅されている。

・ホストが介護を期待する高齢者夫婦だった。学校に毎日行かれると困るという理由で追い出されることになった。

・環境に適応できなかったということで早期帰国となった娘は、留学中のことは一切話さない。それ以後、家族のなかでは留学という言葉は禁句になっている。

・問題を起こしたことは一度もないのに、ホストとスクールを何回もチェンジさせられた。その日のうちに急にチェンジさせられるので、学校の友達と別れの挨拶を交わすこともできなかった。期末試験中なのにチェンジさせられ試験勉強もできず悔しかったし、心休まることもなかった。

・斡旋団体からは一日2食と聞いていると言っても、一日1回、夕食としてポテトチップ一袋を渡されるだけだった。冷蔵庫も飲み物以外は入ってなかったので、親から送金してもらい自分で食材を買い料理して食べていた。ホストは毎晩夜遅くにしか帰らず、ほとんど顔をあわせることもなかったのでいつも一人だった。

注)*印については直接の被害というより、子供に及ぼす影響を考え掲載しています。

≪ヤフー知恵袋などに寄せられている被害事例≫(注:記事の信頼性については各自でご判断ください)

https://okwave.jp/qa/q5090619.html

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1087414690?

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1368958968

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12108819882

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13150095948

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1222643162

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1421330494

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1045500065

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1112730216

※他にもこんなことがあったと投稿欄(匿名可)に書いてみませんか。投稿内容に信頼性があると判断できたものについては、被害事例として掲載することができます。本人は交換留学をしていなくても、知人や友人もしくは親類が交換留学していたときに被害に遭った話を知っている方からの参加もお待ちしています。個人的に情報提供あるいは相談を希望される場合は、相談窓口をご利用ください。

≪被害やトラブルが知らされないその背景≫

 イメージ的には非常に開放的な響きのある高校生の「交換留学」ですが、極端に閉鎖的な環境のもとで運営されているため、 これほどのトラブルや被害があっても外部に知らされることはありません。 下記の≪被害やトラフ゛ルが知らされない理由≫からわかることは、 交換留学被害は社会問題としての様々な特徴と構造をすべて持っているということです。 ここでは事業者側の裏事情だけでなく、当事者である高校生とその保護者、学校の先生、 留学経験者、それぞれが抱える問題についても触れてみます。

◇留学団体は

 当初の理念よりも経営が優先され、組織の存続が重要視されてきた結果でしょうか、 留学関係者は、プログラムの主役である子どもたちのサポートよりも、組織のために尽力しているとしか思えません。 子供たちのためにプログラム内容を充実させることよりも、父兄からの問い合わせや抗議、 トラブルを押さえ込むことが一番の仕事になっています。団体職員としての長年の経験と実績からくる、 飴とムチを使ってのコントロール、上から目線で有無を言わさず従わせるその雰囲気に、 たいていの留学生と親は飲み込まれ、団体側の明らかなミスに対してさえも泣き寝入りを強いられています。 団体の諸問題については、別ページ「留学斡旋団体とは」で更に詳しく書いています。

◇学校の(英語の)先生は

 言語を教えることには熱心な先生でも、海外事情には疎く、留学被害やトラブルに対する認識は、 これから留学しようとしている生徒や保護者とあまり変わりありません。 次の事例は、交換留学の話しではなく、ある私学が毎年行っている中高生のための「海外交流校訪問プログラム」 での事ですが、リーダーとしての危機意識や危機管理の在り方について考えてみてください。 じつは、その子供たちの宿泊先が極めて治安の悪い地域であるという情報が、現地の学生から私のところに入りました。 私は教師が引率するのなら大丈夫だろうと思ったのですが、万が一の場合を考えるとやはり気になりました。 教師が知っているのならまだしも、業者に任せきりで、滞在先の治安状況を把握していないケースがけっこうあるからです。 さらにはその旅行会社も現地の情報を正確に把握しているとは限りません。 そこで私は、「海外交流校訪問プログラム」を担当している教師のことをよく知る人物にお願いして、この事を伝えてもらったのです。 ここで皆さんに質問ですが、あなたがその学校の教師だとして、連絡を受けた場合に取るべき行動とは? じつは、情報提供者からは詳細について応じる用意があると聞いていたのに、連絡を受けたはずの教師からのリアクションが全く無かったのです。 ちなみにこの教師は英語の先生でしたが、私なら又聞きで終わらせるなんて考えられません。 子供の安全確保のためには、事の大小を問わず安全対策を再確認するためにも、情報提供者に連絡を取り直接話しを聞くべきだと思いますが、 みなさんはどのように感じられますか。

◇留学生側は

 トラブルや被害問題に消極的なのは、国や留学斡旋団体、英語の先生だけではありません。 保護者も文科省からの認可や支援がある斡旋団体であれば信頼できる、という神話に囚われているようです。 それならいっそのこと、リスクやトラブルもあって当たり前の『高校交換格安留学』とでも呼び方を変えたほうが良いと思うほどの、 危機意識の欠如です。被害を被害として認識できない、被害だと認めたくない、これくらい大したことではない、 交換留学なのだからそれも良しとしよう、と考える人の多いことに驚かされます。 多少なりともトラブルはつきものなので我慢すべきだという風潮が、深刻な被害を受けている被害者に対して泣き寝入りを強いていることも確かです。 つまり、被害者本人が気づかないままに、さらなる被害者を生む「負のスパイラル」に陥ってしまっているのです。 これでは留学団体の思うツボです。彼らに批判の矛先が向かないからです。 このように被害やトラブルまみれの高校交換留学を支えてきたのは、じつは留学先での被害を黙認してきた被害者自身であり、 その親でもあるのです。さらには中学校などでのいじめの問題とも重なりますが、被害者を傍観するだけで、 自分は無関係だとして被害を見逃してきた、多くの留学経験者にも責任があるといえるでしょう。 自分たちの留学体験はすばらしく有意義だったのなら尚更、「私がその人の立場だったら、どんな気持ちだろう」 「私にできることはないだろうか」と、思いをめぐらせてほしいものです。

≪被害やトラブルが知らされない理由≫

・「高留連」「JAOS(一般社団法人海外留学協議会)」「JASSO(独立法人日本学生支援機構)」のいずれもが、交換留学を推進している文科省が支援する団体組織なので、クレームの窓口が外部機関に無いため情報が外に出ない。(注:「高留連」はすでに解散している)

・留学団体は、被害やトラブルがあっても過小評価して隠せるものは隠す。

・自立の妨げになるという理由で、携帯電話やパソコンの所持禁止、親や友人との連絡も避けるようにと徹底した事前教育が行われるために、トラブルがあっても他に伝わらない。

・留学を奨励している一部の学校を除くと、大学受験への影響もあって留学には慎重な考えを持つ先生がほとんどである。したがって留学を強行した場合には尚更、被害があっても学校の先生に報告しにくい。学校側としても留学トラブルには関与したくない。学校の英語の先生もトラブル問題には逃げ腰である。

・15~18歳という年齢では状況判断が不十分な子どもが多いので、よほどのことがない限り被害を受けたという自覚がない。あるいは、うまく丸め込まれ納得してしまう。

・害を被っていてもそれを認めたくない、あるいは知られたくないということで、留学が順調であるかのように振舞う子どもが以外に多い。

・お世話になった団体で支援活動している帰国生とその親の多くは、団体が抱える被害の実態を、知りたがらないし話したがらない。

・保護者は文科省からの支援を得ている団体というだけで、無条件に留学関係者のいうことを信じる傾向があり、子供からのSOSを見逃してしまう。

・例年3ヶ月以上の高校生の留学派遣数は3000人前後で(留学生数の推移はトップ・ページで要確認)親も子も学校の先生も情報量に乏しい。

・現地側の不条理な言い分であっても、強制帰国させると脅かされると、単位認定のことがあるので親も子も黙るしかない。

・文化の違いだけでなく、子供はもちろん斡旋団体職員もトラブル解消に必要なコミュニケーション能力が不足しているので、現地の交流団体のいいなりになってしまう場合が多い。

・現地の団体がいいかげんであっても、海外でのことだけに知ることができない。

・交換留学の期間は1学年間(約10ヶ月間)なので、帰国してしまうと少々のトラブルや被害の場合はあきらめるか、忘れたことにしてしまう。

・団体に対し、正当な権利として慰謝料(見舞金)を要求するのではなく、口止め料として受け取る親がいるので被害が外部に知らされない。

高校交換留学における被害と問題点

 高校交換留学で最もトラブルが多いのは、有償ボランティアのホストファミリーにおいてです。 まず、高校交換留学においては、ホストファミリーはボランティアだと聞かされます。 ボランティアと聞くと、「無償ボランティア」を想定してしまうのですが、 実際には、受け入れ奨励金や補助金という名目で報酬が支払われていたり、税金の控除といった間接的な利益を得る「有償ボランティア」というケースが多いようです。 だからといって、ボランティアは100パーセント無償でなければいけない、あるいは、ボランティアといえども一人の人間をあずかるのだから、 ある程度の金銭的サポートは必要である、というような単純なことではありません。 留学団体側が、ホストファミリーはボランティアであると留学生に思わせることによって、 多くの留学被害が覆い隠されていること、お金が支払われているために留学団体とホストファミリー、留学生との間にトラブルが生じていることが、 重要な問題なのです。

 「文部科学省初等中等教育局国際教育課「高校生の海外留学の促進について」では、 「1年間を海外の無償のボランティアの受入家庭に家族の一員として滞在し、 その滞在地域で正規の高校と認定されている学校に授業料免除で通学するプログラム」と定められています。 例えば未成年者がイギリスやカナダに留学する際には、ガーディアンと呼ばれる保護者代理を指定することが義務付けられており、 ガーディアンフォーム(※)の提出がないと学生ビザの申請が認められません。 高校生の交換留学の場合は、ホストファミリーやホスト校が留学生のガーディアンになります。 このことからも、受入家庭の選定が最優先重要事項であることがわかります。
※ガーディアンフォーム 法的後見人の宣誓書
https://www.canada.ca/content/dam/ircc/migration/ircc/english/pdf/pub/custodian-parent.pdf

≪「無償」「有償」と「ボランティア」≫

 受け入れ家庭が「無償」の「ボランティア」だと聞かされていた保護者は、ホストにお金が支払われていることを知り、 驚いて留学団体に説明を求めることはよくある話です。 そうすると団体側は、支払いが発生するホスト家庭のことを「有償ボランティア家庭」だといって、 「有償」であっても「ボランティア」の受入家庭であることを強調します。「ボランティア」なのに「有償」? 現地ではじっさい、受入家庭は一部受入奨励金、補助金等の名目で金銭を得たり、留学生を預かることで税金が控除されます。 たしかに、ボランティアの定義も時代と共に変化するもので、何がなんでも「無償」にこだわる必要はないと言う意見もあります。 しかし、ホスト家庭の確保のためとはいえ、定義が曖昧な「有償ボランティア」の存在が、被害やトラブルの要因となっていることは確かです。 ボランテイア(volunteer)とは本来、社会活動などに無償で参加することをいいます。 ひとくちにボランティア活動といっても、高校生の交換留学の場合、ホストの留学生に対する思いは「無償」と「有償」とでは違って当然のことだと思います。 そこで私たちは、団体側がどのような言い方をしようが、「無償」であれば「ボランティア」、奨励金や補助金が支払われる場合は「有償」であり、 留学団体がいう「有償ボランティア」という言葉を鵜呑みにしてはいけません。

 それでは次に、有償ボランティアによる被害の一例です。 2006年当時、「高留連」会員団体(※)だったWYS団体でのことですが、カナダのある地域では、無償のボランティアであるはずの受入家庭に、 じっさいは現地ホストファミリーとしてのビジネス相当額が支払われていました。 そして、その支払をめぐって子供たちがトラブルに巻き込まれています。 この地域においてわかっているだけでも、20件前後すべてのホスト先が有償家庭、そのうちの5件ではダブルステイさせ、 ホスト校も有償でした。(注:ホスト家庭には毎月約4万円、ホスト校には約80万円支払われていた) その支払が滞ったため、ホストの不満が何も知らない子供たちに降りかかっただけでなく、現地スタッフの無責任な言動が更に多くのトラブルや被害を招きました。 さらに、この団体の違反行為は以前から行なわれていたこと、他の団体でも同様のことがあることもわかりました。 そこで、トラブルの原因の多くが斡旋団体にあることを知った私は、複数の留学団体関係者に話しを聞くことにしました。 ところが皆さん誰一人として驚く様子がありません。行く前からネガティブな話しをすると子供たちが行かなくなる、交換留学ってそんなものだ、という人もいたのです。
(※)「高留連」(全国高校生留学・交流団体連絡協議会のこと)は2013年6月14日に解散

≪留学団体が「無償」の「ボランティア」にこだわる理由≫

 高校生の交換留学は、留学生を受け入れるホストはボランティアの人たちなので、 あまり厳しい基準を設けると、ホストファミリーになる家庭を探すのが困難になるとの声もあります。 それでも無償のホスト家庭の確保が困難であれば、交換留学プログラムを中止するか、 ホスト家庭は有償にして事業を継続する方向にシフトすることでしか事態の改善が望めないことは、 誰の目からみても明らかでしょう。ところがいっこうにそのような気配はありません。 そもそも文科省の定義通りにプログラムを実施するのであれば、有償ボランティアの存在自体がおかしいことですよね。 無償がダメなら有償でもいいから、受入家庭は何がなんでも「ボランティア」を掲げたい、 「ボランティア」という看板がここまで必要なのはどうしてなのでしょう。 それは、「ボランティア」を謳い文句にすることが、事業者にとっては安易で便利な方法でもあるからです。 「ボランティアであれば善意ある人々の協力が得られ安全安心に違いない。感謝の気持ちを忘れず、少々のことがあっても我慢しよう」 と利用者側に思わせることができるからです。何が何でも受入家庭が「ボランティア」でなければならないその理由は、 利用者よりも事業者により強くあるのかもしれません。 ちなみにYFU関係者からは、2014年当時で米国側の受け入れ家庭数はおよそ150ファミリー(すべてが無償家庭か否かわからない)が限度と聞きました。 実際には派遣者数が上回るので、不足分のファミリーの確保のためにお金が動きます。 しかしこの事実は伏せられており、団体は「無償」の「ボランティア」であることを強調して募集をかけ多くの学生を送り込むわけです。 現地では受入家庭の確保に追われ選考基準にまで手が回らないので、トラブルや被害が頻発するのも当然だと思われます。

 このように、あるはずのないお金の問題でトラブルが生じていることなど知らない子供は、ホストとの関係がうまくいかないのは、 自分の努力不足だと思い忍耐するしかありません。それにお金がトラブルの原因だと分かったとしても、これはもう、 未成年者が解決できることではありません。トラブルの原因は、「ホストだけにあるのではなく、双方の人間関係から生じることが多い」 という決まり文句で、留学団体が取るべき責任(=大人の責任)を子供に転嫁します。

≪交換留学プログラムの特徴が被害を拡大≫

 さらにはホストファミリーだけでなく、受入れに関わるすべての人たちも留学生と同じくプログラムへの参加者であるという、 高校交換留学制度の特徴が、時として諸刃の剣になることがあります。 トラブルが生じたとき、私費留学では本人あるいは保護者の責任(意志)で動くことが可能なのに対し、交換留学では予想を遥かに越えた難問題に発展し、 身動き取れなくなることがあるからです。運悪くトラブルに見舞われた子供が自ら考え行動しようとしたとき、受入れ側が善意の人々でない場合は悲惨です。 早期帰国になった子どもたちの多くが、団体側の連携不足や利害関係という大人の都合や事情によって、理不尽な状況に追い込まれています。 皮肉なことに、契約上の義務違反に対して言うべきことを主張する自立心旺盛な子どもほど、留学生の自主自立を促す立場にある団体関係者から徹底的に叩かれています。

 このように、たった一人で異国の地にいる15~18歳の子どもが、大勢の大人から (受入れ側の団体職員、地域カウンセラー、ホストファミリー、なんと日本の団体職員からさえも)昼夜おかまいなく言葉の暴力を受けるケースは、 高校生交換留学の影の部分だと言えます。このような状況の中で精神不安、ホームシックに陥り、環境への適応能力不足という扱いで処理され、 早期帰国となっている学生も多くいるのです。寄せられる様々なトラブル事例だけでなく、私体験からも、このことは無視できない重大な問題だと感じています。

≪多発する被害やトラブルはいつ頃から≫

 こうしてみると、留学生の不慮の事故や病気、ルール違反以外のほとんどは、 滞在家庭の選定をしている受入団体側に多くの問題があって被害が拡大していると考えられます。 ということは交換留学のシステム上、留学先国の受入団体と連携している日本の団体は、被害やトラブルがコントロールできていない状況で派遣事業を続けていることになります。 つぎに、被害やトラブルはいつ頃からなのかを調べてみました。

 1990年、文部省から各都道府県知事宛に、高等学校生徒の留学で各種の問題が生じているという報告書が送付されています(※1) 1993年には高校生の交換留学問題は国会で取り上げられており、当時すでに高校生の四人に一人が何らかのトラブルに巻き込まれていることが「衆議院会議録」に書かれています(※2) 無償のホスト家庭の獲得が困難を極めていることについて、「2005年度(平成17年)高校生留学関係団体関係者研究協議会報告書」p.9に、高留連事務局長新谷氏の話として記載されています(「高留連」は2013年6月4日に解散しています)  2008年度(平成20年)の「第9回留学生特別委員会」においても、「今後の留学生交流の在り方について」の意見交換で、高校留学について次のように話されています。 【ホスト家庭について、高校生の場合、寮に入れるよりは、日本を本当に理解してもらうという意味で、一般家庭に滞在することは極めて特徴的であり、 大きな意義を持つが、世界的な流れを見ると、無償としての善意のボランティアではなく、有償としてある程度の金額をホストファミリーに支払うという流れになっている】 【先ほどホストファミリーについてお話ししたが、外国では有償のお金を払う留学が増えており、交換留学の場合なかなかホスト家庭を確保するということが難しくなっている。 有償ということは留学費用に加算されるわけで、交換留学でありながら費用がかかるという問題は大きい。それが響いて、派遣の相手国を選ぶのに苦労するようになっている。 アメリカの場合は、先ほど申し上げたように、SLEPという試験の要件が厳しくなっているので、アメリカ以外の英語圏を探すようになっているわけであるが、 英国では既に留学生受け入れ事業がほとんどビジネスになっているので、受け入れ先の家庭に払うお金、授業料その他を入れると参加費が本当に高くなってしまう。 このように交換留学の枠組みというのがもう崩れており、AFSという特に歴史が古いものであるが、2008年1月に英国でのオペレーションを閉じた。 オーストラリア、ニュージーランド、カナダも、交換留学と言いながら、授業料を払って、ホームステイにもお金を払うという団体が増えているので、 事実上、交換留学といっても私費留学とどう違うのかということになっている。このように交換留学の枠組みというのが崩れかけており、 2008年1月に英国でのオペレーションを閉じた歴史の古い留学団体もあり、既に英国とニュージーランド派遣は中止し、 2009年度からはオーストラリアへの募集も中止するという留学団体もある。 ほかの団体も大体似たような状況ということは、数年以内には高校生留学に関しては、オセアニアと英語圏カナダへの交換留学というのは派遣がなくなる可能性がある。】(※3)

 1988年に高校生の留学が制度化されて、わずか2年後の1990年に文科省から注意喚起の報告書が出ているということは、 それ以前から多くの問題があったのではないかと考えられます。 事業の拡大とともにホストファミリーの確保が難しくなる中で、選定基準が甘くなってしまうことは容易に推察できます。 少なくても30年前からトラブル続きであるにもかかわらず、何の手立ても講じてこなかったことが、これらの資料から確認できます。 留学関係者らはトラブルや被害があって当たり前の共通認識の下、組織の存続のためにそのことを伏せて留学生を送り込んできたといえます。 ということは今も昔も、おそらくはこれからも、被害やトラブルはコントロールできない危うい制度なのかもしれません。

(※1)「高等学校における留学等について」(報告)の送付について
(※2)「衆議院会議録」薮仲分科員発言のところ
(※3)留学生特別委員会(第9回)議事録より一部抜粋 文部科学省報道資料(←すでに削除されています)

≪トラブルに対処するために≫

 出発前にいろいろあったとしても、保護者の多くは団体が信用できないものだと思っていないため、 渡航後にトラブルが発生して初めて気づくことになります。 一方、留学業界をよく知る親の場合は、出発前までにホストファミリーが決まらない時点で、団体に対し返金要求するなどの的確な判断が下せるようです。 ただし、ホストファミリーが決まったからといって安心できるわけではありません。 ホストファミリーが決まってないのに決まったとウソをついて渡航させるからです。しかし理由はそれだけではありません。 ホスト先でのトラブルについては個々に事情が違ってくるため、説明会で留学団体が示すマニュアルなんて、あってないようなものだからです。 ホスト家族とのコミュニケーションがうまくいかない、喫煙者がいる、食べ物が口に合わないとかお粗末だとか (家族も同じものを食べている場合に限りる)、下品である、貧困家庭である、子供たちが騒がしくて勉強できないなどの問題は、 家族の一員として受け入れられてから生じるものだからです。とは言っても、個々の事例をどこまで許せるかどうかについては、 留学団体、留学生本人、OG/OBと呼ばれる帰国生、保護者がしっかりと意識しなければいけないことだと思います。

 現地での状況ですが、ホストからの性的虐待のように誰が聞いても許せないレベルのものから、 ネグレクト虐待といわれるもの、限りなくそれに近いものから状況判断の難しいものまで様々です。 クレイジーホストにはじまり、ボランティアポイントを稼ぐため、ベビーシッターや家政婦代わり、家計を少しばかり潤すためのものから完全なるビジネスまでもと、 文科省が定義しているプログラムとは程遠い劣悪な環境に放り込まれる子どもたちがいるのです。 人生経験がまだ少ない高校生の場合、急激な環境下で思いがけない事態に直面すると、混乱状態に陥り判断を誤る場合があります。 どこの国に行ってもおかしいことはおかしいはずのものが、日本を離れた途端に判断できなくなり、 ホスト先での劣悪な環境(極度に不衛生な状態、ネグレクト虐待、猥褻行為など)さえも受け入れてしまう子供もいるのです。 高校生といえどもまだまだ子供なのです。子供を送り出すと決めたなら、交換留学の被害状況を把握することで、 団体にまかせっきりの留学にならないようにしてください。

 子供たちにも、「いいことばかりじゃないよ」「こんなトラブルは君のせいではないよ」「現地のボランティアって日本のそれとは違うものだよ」 「女の子は寝る時には部屋の鍵をかけること」「人が集まる場所では自分の飲み物から目を離さない(ドラッグ被害)」 「銃を向けられた場合に取るべき行動とは?」「トラブルに巻き込まれたら自分の意見をしっかり届けられるほどの英語力がいるよ」など、 いっぱいいっぱい知っておいてほしいのです。これから被害に遭うかもしれない子どものために、大人に裏切られ傷ついた子どもからの信頼を取り戻すためにも、 わたしたち大人が何を感じ何を大切にしようとしているのかを、子供に伝える必要があると思います。

・子どもの話を徹底的に聞く

 子どものいじめ問題でもそうですが、何か問題が生じた場合、当事者である子どもからの話しが最初に出てこないことに違和感を感じています。 留学生活においても、結果としてトラブルの原因が学生にあったとしても、まずは子どもの言うことに耳を傾けたいと私は思います。 団体側の言うことよりも、子どもの話を聞くことです。そしてトラブル発生時には、親子の信頼関係が要になると同時に、最も難しい問題でもあるので、 次のことをしっかり覚えておきましょう。まず、留学団体は子供からのクレームに対し「強制帰国」という脅しを使ってくるので、 子供は親にさえトラブルを伝えにくいということです。また、事を有利に進めたい留学団体は教育的役割の立場を悪用し、親は子供を守り子供は親に守られる、 という親子関係を「過保護」と決め付けて分断しようとするかもしれません。 本来は当たり前の基本的親子関係を、あたかも恥ずかしいことだと信じ込まされないように、親も子も注意する必要があります。 親と子の信頼関係なしに、海外でのトラブルや被害から子どもを守ることはできません。親子の信頼関係がしっかりしていれば、親以外の大人に対し、 信頼できる人とそうでない人を区別できるセンサーが働くからです。留学中は定期的に連絡を取り合うようにすべきです。 トラブルによっては、団体など無視して現地に飛んで行きホストと直談判することも必要だからです。

・主導権はどちらにある

 受入れに関わるすべての人たちがプログラムへの参加者であるとはいっても、100万円以上の費用を払うのは留学生の親なのです。 それなのに説明会やオリエンテーションで話しを聞くうちに、本来は一番の主役である子どもと保護者が団体のいいなりになるという、 力関係の逆転現象が起きてしまうのです。中でもYFU、AFSの説明会はこの傾向が強く、カルト宗教やマルチ商法に通じる独特の雰囲気を私は感じました。 留学生活がスタートすれば、かなりの部分、現地団体側に主導権が移ってしまうのは仕方ないとしても、 出発前の段階で主導権が奪われないよう気をつけましょう。

・これらの言葉に注意を

 「原則的」「自己責任」「アライバルホスト」「有償」「無償」「ボランティア」「補助金」「一部負担金」「プログラム離脱」「早期帰国」等など、 団体側から浴びせかけられるこれらの言葉を鵜呑みにしないことです。「有償ボランティア」のことは、すでに「高校交換留学における被害と問題点」のところで取り上げているので、 ここでは「アライバルホスト」について書いてみます。そもそも「アライバルホスト」だなんて、おかしな話しだと思いませんか。 団体独自のガイドライン(「募集要項」「参加規程」などといわれるもの)には、ホストファミリーが決まらなかった場合には全額返金の対象となると書かれていないでしょうか。 じつは、ホストファミリーが決まらず、現地スタッフの家で仮住まいをしながらホストファミリーを探すことが当たり前に行なわれています。 日本の団体は、ホストファミリーが決まらなければ全額返金しなければならないので、ホスト家庭が決まっていなくても、決まったことにして留学生を送り込んでいるのです。 どう考えても、「申し訳ございませんがホストファミリーが見つからないので留学は断念せざるを得ません。 ただ、このような方法で良ければ話を進めることもできますが」と確認を取っているとは思えません。渡航させれば後のことは現地団体任せになるので、 「アライバルホスト」などという訳も分からない造語を用いて、見切り発車させているわけです。 保護者に対しきちんと説明されていない現状を考えると、お金欲しさに子供を送り込んでいると思われても仕方ありません。 また、「自己責任」などという言葉も、大人同士、対等な力関係の下で使われるのならともかく、大人が子供に対して安易に使うものではないと私は考えます。 未成年の交換留学において、最終責任者でない者に責任を問わせるようなやり方は、責任転嫁以外の何ものでもありません。

・準備できる事とは

 留学期間中は親子の信頼関係が最も重要です。いつでも親に連絡できる環境を確保することが、トラブル回避・対処には欠かせません。 留学団体には避けるようにと言われても、出発前までにPCや携帯電話等での連絡手段は必ず整えておきましょう。

 また、留学は楽しいものであるべきとの思い込みからトラブルを軽視してしまうと、それらが積み重なって後々負担となることがあります。 留学生として心得ておくべきことは、トラブルの大小にかかわらず、その都度きちんと対処することです。 トラブル内容によっては、親から留学団体に連絡してもらうことの方が良い場合があります。 いずれにせよ、我慢しないで信頼のおける大人に相談することが大切です。

 親として出来ることは、トラブルの原因が団体側にあるのに改善する様子がみられない場合には、 保護者の方からプログラムを中止して全額返金(見舞金も)してもらうことです。 「強制帰国」は、なにも留学団体の専売特許ではありません。そのためには早期の帰国も想定して、いつまでに学校に戻ればダブらずにすむのかを (出席日数が足りるのかを)在学校の先生に尋ねておきましょう。トラブルが発生した場合、団体との交渉内容はすべて録音しておき、 話の内容はメモするように習慣づけてください。あと、ネットワークの観点からは、同じ斡旋団体の父兄の方々ともコミュニケーションが取れるといいでしょう。 何かあった時に、自分達の抱えている問題が特別なものでない事がわかると思います。

・団体側との交渉に際して

 保護者からの苦情に対しては、そのように不平不満を言うのはお宅だけですよ、といって威圧的な態度をとることで、 父兄に不安を与え要求を諦めさせます。それが通じない保護者には、担当者を次から次へと変えるなどして時間稼ぎをする、 話をややこしくして面倒と思わせ諦めさせる等、ありとあらゆる手段で対抗してきます。 話し合いでは決着がつかず裁判にまで持ち込まれる場合もあるのですが、団体側としては一番避けたいケースのはずです。 美味しい話をちらつかせたかと思うと、専属の顧問弁護士の名前を出してみたり、他言したら不利益をこうむるぞと言わんばかりに、 保護者には「在学校の校長に話すぞ」と言い、学校の先生には「教育委員会や文科省に言いつけるぞ」と言って脅しにかかります。 それでも心配することはありません。実行された試しなどないからです。なぜなら、国から認可を得ているとか、 役員名簿に社会的地位の高い人や著名人をはべらしたり、団体HPの紹介に米国のクリントン女史が出てこようと、 その実態はただの斡旋業者に過ぎないからです。観光ツアーの変わりに教育提供プログラムを扱っている旅行会社だと考えて下さい。 団体側が脅してきても(このことの方が大きな問題です!)結果は後からついてくるものとして、毅然とした態度で正当な要求を通していくことです。

 そのためには、怒りの感情に振り回されることなく冷静に対処しましょう。 交渉の際には、少しでも不明瞭な部分があると、相手のペースにはまってしまうので注意してください。 それに、アレもコレも話すと、ごまかされてうまく逃げられてしまいます。言い間違いから揚げ足を取られないためにも、 書面を提示して書かれていることのみを何度も繰り返し話すことで、相手側の落ち度を明らかにしていきましょう。たとえ団体側から脅し文句でゆさぶりをかけられても、 丁寧かつ厳密に反論していければ、それなりの回答が得られるはずです。交渉が不得手な人は、交渉内容は文書にして、口頭での話し合いはなるべく避けるようにします。 なんといっても交渉相手は、成田空港で我が子の留学を台無しにされた父親から胸倉を掴まれても、一歩も引かない百選練磨のプロだということです。 とにかく話術では敵いませんので、団体側の矛盾点を文書で指摘するように心がけましょう。

 あと、これは<子どもの話を徹底的に聞く>に書いてあることとも重複する内容ですが、有利に事を運ぶために、 家族(夫婦)を対立・分断させるのも彼らのやり方なので注意が必要です。そのためには交渉の前に家族同士で十分に話し合うことが大切です。 団体からの提示(賠償金額等の)に対しても、意見の一致を図っておかないと家族(夫婦)関係がギクシャクしてしまい、交渉どころではなくなってしまう場合もあるからです。 留学業界の人たちはかなり手強いので、交渉スタート時の怒りを持続するのも大変ですし、交渉自体も正直疲れるものです。 ある意味、夫婦や家族の絆が試されるときなのかもしれません。

・二次的被害に遭わないためには

 それでは次に、弁護士などを通じて被害の示談交渉・訴訟をする場合の注意点について書いてみます。 但し法律については全くの素人なので参考程度にお願いします。一般的には知人や友人からの紹介がない場合には、各自治体にある相談窓口、 地区の弁護士会等で相談することになると思いますが、大金を払って留学で被害に遭い、弁護士などに相談して無駄な出費を重ねてしまうことにならないよう注意しましょう。 じつは、留学団体からの謝罪が欲しいがために弁護士などに相談するというケースがよくあります。 しかし、謝罪で気がすむ留学被害者ほど斡旋団体にとって都合のいい顧客はいませんし、弁護士にとってもそれ相応のお金の返済という具体的な成果なしで報酬を得られるなら、 これほど都合の良いクライアントはいません。 留学被害にあって、弁護士費用を支払って、被害やトラブルがあるとわかって商売している留学団体から名ばかりの謝罪や誠意を求めるのは無意味なことです。 留学団体のあり方を変えるためには、(あえていわせてもらえれば)被害者の義務としても、留学団体にとって痛い方法で謝罪を求めなければなりません。 悲しいことですがお金だけ取れればよい、そう割り切って考えることが大切です。

 あと参考までに、留学に通じた弁護士を抱えている「***留学協会」もあるようですが、留学によって生じるトラブルからも儲けてやろう、 みたいな考えを持っていないとは限りません。弁護士選びは2~3件まわって比較するようにしましょう。 ネットで情報を得ることも大切ですが、安心して任せられるかどうかは自分自身の目と耳で判断すべきです。

・「飼いならされた被害者」にならないために

 留学被害の対応に関わってきた私が常々大切だと思うのは、害を被った側が第三者的な目で自分自身を見つめることです。 これは大変難しいことで、どうしても「加害者としての留学団体」と「被害を受けた私たち」という当事者関係に巻き込まれてしまいがちです。 このことは第三者に間に入ってもらう場合でも同様です。第三者と話している自分、第三者と自分の関係、自分と第三者と留学団体側との関係を、 常に外から第三者的に見つめることで、留学団体側や第三者といった他の誰かではなく、被害者である自分が主導権を持つことが大切なのです。

 特に気を付けないといけないのは、第三者を立てることによって、話し合いなのだから感情的にならないでほしい、 といった留学団体側からの牽制が第三者を介して被害者側に届くということです。交渉にあたっては、被害者側が感情的にならず、 相手の話に対して冷静に対応することはいうまでもありません。とはいってもそれは戦略的な理由から冷静を装う為のパフォーマンスであって、 被害者自身の感情を押し殺してしまうことではありません。感情的な部分を大切にしなければいけないと思います。 人前で怒りを顔や言葉に出すことは大人げないと考え我慢すると、留学団体側の牽制に引っかかってしまいます。あえて意地悪な言い方をすると、 加害者側や周りの人たちから、「冷静な大人の対応ができるのは素晴らしいことですね」と言われた被害者が褒められたと思って嬉しがっている、 という感じです。留学団体側は、私たちが「いい人だと思われたい、いい人になりたい」と思って自発的に受け入れてしまうような社会通念や倫理といったものを利用してきます。

 これらのことからも、自分や周りの人間から見て「良し」とされていることほど疑い深くあるべきなのかもしれません。 たとえば弁護士や留学団体との関係の中で自分がどのような動きをしているのかを、第三者としてのもう一人の自分がしっかり把握することです。 留学団体側からの牽制を知らず知らずのうちに内面化してしまって「飼いならされた被害者」になってしまわないように気をつけましょう。

・被害者自身が考えることは

 たとえば、「このようなことになって大変だったと思いますが楽しいこともあったのではないですか。 やはり留学の経験はすばらしいものがありますよね。」というようなことを、留学団体だけでなく周りの人たちからも言われるかもしれません。 このような無責任で暴力的な言葉に対しどう切り返していくのか、それを考えておくことも大切だと思います。 深く考えずに何でもかんでもネガティブをポジティブに!といったものの言いかた、つまり一般的に「良い」とされている考え方に批判的になっていくことこそが、 留学被害への抑止力となり、日本のグローバル化を本当の意味で支えることになると私は思っています。

≪将来に向けて≫

 国際社会において日本人が相手にされない理由は、たとえ英語で話せたとしても自分の意見を持っていないことだと思います。 かといって何処かの誰かさんのように、国際会議の場で「シャラップ!」を連呼するのは以っての外ですが、 自分の仕事に誇りを持っている人間が本気で相手と関わろうと思えば、言わなくてはならない事もあるはずです。 また、そのへんの問題意識を持たない人は、いくら英語ができても英語が話せるだけの日本人止まりでしょう。 ちょうど私が問題視している団体関係者のようにです。現地の交流団体に対して言うべきことを言ってこなかったことが、 被害の拡大をもたらしたともいえます。国際社会における日本のあり方という観点から見ても非常に残念なことだと思います。

 留学被害においては、伝えるべきことが言える自立できた学生もいますが、滞在先でネグレクト虐待があっても大人の言いなりで何も言えない、 言わない学生が大半のようです。このタイプの子どもたちは、団体関係者にとっては扱いやすい「いい子」なので、 こっぴどくやられることも強制帰国させられることもなく留学そのものは終えることになるのでしょう。でも、このような若者が大人になって、 文科省が「高校生海外留学支援制度」の中で求めているような、主体的・積極的に国際社会に貢献できる人材になれるのかというと、 私は疑問に思います。被害者を無視して力のある人や強い組織を支援することが社会に貢献することだというのなら、 それはそれでOKなのかもしれません。しかし、何を大切に思い、何に貢献するのか、「社会のため」「誰かのため」の 「社会」「誰か」が意味するものとは何でしょう。貢献しようと思う、そのずっと先にあるものとはいったい何なのでしょうか。 自身の考え方や生き方を問うことも忘れないでほしいものです。

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