ホーム

 留学にかかわるトラブルといえば、斡旋会社の倒産がテレビや新聞でも報道されたこともあり、 数多くの苦情や相談が全国の消費生活センターなどに報告されています。 そのため消費者庁は、語学留学、ワーキングホリデー、インターンシップ等の斡旋サービスに関し、注意喚起と消費者へのアドバイスを提供しています。 一方で高校生の交換留学については、トラブルの原因の多くが斡旋団体側にあるにもかかわらずメデイアをはじめ誰からも真面目に取り上げられることはありませんでした。 しかし考えてみて下さい。高校交換留学とは日本の高校生が海外に留学するという、国際交流が実際に行われている現場なのです。 これまで高校交換留学における被害がほとんど知られていないというのは、 日本における国際交流やグローバル化が現実味をもって議論されていない証拠だと思います。

 留学団体側の落ち度が学生の責任であるかのように転嫁され、ほとんどのトラブルが正当化されています。 本人に非がなくとも度重なるホストチェンジ、ファミリーチェンジが当然の事のように行われるため、落ちついて勉強することも友人やホスト家族との信頼関係を築くことも難しくなります。現地スタッフにホスト家庭でドラッグが使われている、レイプされそうになった、使用人のように扱われていると伝えても、親に電話をするな、日本の団体に連絡するな、強制帰国だと言って脅すので我慢するしかありません。あるいは一方的に早期帰国させられるケースも少なくありません。親は子供からの連絡がないので留学生活は順調だと思い、日本側の団体も何が起きているのかを知らない、あるいは黙認しているかのどちらかで、現地での悲惨な状況は子供が帰国するまでわかりません。

 このように本来は自立を促すための「親に頼らず自分で考え行動する」という徹底した事前教育が、 いいかげんなプログラムの隠れ蓑になっています。 性的虐待を受けた場合には泣き寝入りになることからも被害が大きく深刻なことほど子どもは言いたくても言えません。たとえそれなりに満足な留学だったとしても多かれ少なかれトラブルはあったはずで、今すぐに解決しなくてはならない問題が山積しています。交換留学システム自体がここまで破綻していることを、私たち大人は知るべきだと思います。 留学関連事業というのは、外務省、文科省、国交省などの省庁及びそれらの外郭団体の利権も複雑に絡んでいることからもわかるように、容易に解決できるような問題ではないことは誰の目から見ても明らかです。だからといって15~18歳までの未成年者を対象とした教育提供プログラムである以上、これらを放置することは大人としてあまりにも無責任ではないでしょうか。

 それに留学団体による被害の隠蔽という問題は、言葉だけが一人歩きしている 日本の国際化・グローバル化そのものを問うことにもなります。使用人同様の扱い、犬猫同然にあっちこっち預けられる、ろくに食べさせてもらえず買い食いするしかない等など、斡旋留学団体だけでなく、留学生側(留学生本人と保護者、学校の先生) までもがこの状況を許してしまっているからです。交換留学生の被害者は日本の未来を担う子供たちなのです。教育の国際化、グローバル人材の育成というのであれば本当はこういった問題を見ていくべきだと思います。ぜひとも「被害の実態」のページでこれらの問題点を確認してみてください。

 被害の実態を知ること、情報公開することから皆でやり始めましょう! 情報が広がることにより外部からの批判等で斡旋団体としての組織のあり方が見直されることを願っています。留学先でトラブルの解決法に悩んでいる高校生や、留学を考えていて事前に情報を集めている人たちにも役立つことになるでしょう。このHPは留学被害者だけのものではありません。未成年者が留学すること、国際社会で通用する人間の育成について等など独自の意見をお持ちの方もぜひ参加してください。

高校交換留学プログラムとは

 ここでいう交換留学とは、海外の高校に通学して卒業することが目的の私費留学とは異なり、一学年間を派遣先の無償の受け入れ家庭に滞在しその地域の高校に通学して、その国の社会や文化を体験することで国際理解を深めるという教育プログラムのことです。国の行政機関から認可されている教育交流団体(このサイトでは留学団体あるいは留学斡旋団体と表記)が留学生の世話をボランティアでしているため、費用は120~150万円位で安価、一般の留学会社よりも安心安全だと謳われてはきたものの果たしてそうでしょうか。

交換留学の歴史と留学者数の推移

 高校生の交換留学は、第二次世界大戦後に未来を担う若者たちが異文化体験を通して相互理解を深め世界平和の実現に貢献することを目的に、キリスト教精神を基盤とした慈善活動としてアメリカで始められたものです。その後多くの国と国の間で交換留学が実施されるようになり、日本では1954年に高校生8名がアメリカへ派遣されたのが始まりです。1957年にはアメリカ人高校生9名が受け入れられ、 1960年代には日本での年間受入プログラムもスタートしました。1986年には派遣が3186名、受入は600名にまでなりました。1988年には海外の高等学校の履修が日本の高校でも30単位までは認められるようになり、3ヶ月以上の私費及び交換留学総数はピーク時の1992年度には4487名にまで増加しています。その後は減少傾向が続き「高留連」の斡旋団体からの2010年度出発交換留学生数は千数百名と聞きました。(「高留連」は2013年6月4日解散) 文科省の報道資料「令和3年度 高等学校等における国際交流等の状況について」では、3ヶ月以上の留学者数は横ばい状態から少しずつ増え2015年には4197人、その後は新型コロナウイルス感染症の影響により半数以下となっています。