海外留学を巡る契約トラブルを防ぐため、一般社団法人「留学サービス審査機構」(※1)が先月末に発足しNHKニュース「おはよう日本」でも取り上げられました。消費者庁などの国の機関が一般社団法人「海外留学協議会(JAOS)」に働きかけ、留学・語学研修等協議会(CIEL)やNPO法人留学協会も加わった第三者認証機関としてスタートしました。さて、各業者の約款や財務状況に踏み込んだ認証制度であると謳っていますが、そのガイドラインは法的拘束力を持たないようです。観察してお墨付きを与えるだけで責任を負ったり被害にあった人を助けてくれる訳ではありません。たとえ定められたガイドラインに則した約款であったとしても、契約の段階であるいは留学先でそれらが守られることは難しいでしょう。
それではホームページを見てみましょう。JAOSが紹介している<留学斡旋団体のJAOS会員一覧>(※2)には「このペ-ジは会員からの原稿をそのまま掲載しております。JAOSでは掲載内容・ホ-ムペ-ジの内容につきましては関与しておりませんので、お問い合わせは直接各会員の団体あてにいただきますようお願いします」と書かれています。 この、各斡旋団体の掲載内容・ホ-ムペ-ジの内容には関与しないということは、責任を負わないということであり巧妙に抜け道が設けられています。
そもそも留学トラブルが多発している原因は、公的な認可や資格は必要なく、安易に誰でもが留学斡旋できるところにあります。じっさいにはJAOSのホームページでもトラブルの多い斡旋団体がいくつも会員登録されています。「留学サービス審査機構」の発足により、内実は何も変わっていないのに認証マークがつくことで消費者はますます業者を信頼してしまう恐れがあります。 その結果、被害がこれまで以上に増えるのではないかと心配です。
(※1)現在では複数の団体と協働するJ-cross(一般社団法人 留学サービス審査機構)になっています
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