語学研修ツアー中にNYで行方不明になった高校生が無事保護されたことは、最新情報2013年8月31日のところですでにお伝えしています(※)ところがその後、当時のメディアが事実と異なった内容の報道をしていたことがわかりました。高校生が行方不明になった経緯について、プログラムを実施したアイエスエイ社の現地スタッフが誤った報告をしていたことが判明したのです。ようやく先月の12月25日、アイエスエイ社が被害生徒(行方不明生徒を含む6名)に対し、書面による謝罪と10万~5万円の解決金を支払うことで示談が成立しています。
じつはこの事故、テレビのニュースを聞いていて、なぜはぐれてしまったのか?他の生徒は気づかなかったのか?携帯電話は?と思った人もいたはずです。 案の定、男子生徒がはぐれてしまったのは、スタッフが集合時刻に遅刻し点呼を怠るという、引率した添乗員及び現地スタッフのミス(集合場所で待ちくたびれ寝ていた彼を残したまま出発した)からでした。新聞やテレビニュースでは彼は地下鉄の乗り換え時にはぐれてしまったと報道されましたが、そもそも彼は地下鉄になど乗っていないのです。地下鉄の駅に向かう途中で彼がいないことに気づいた生徒も、現地スタッフに告げているのに無視されています。そのうえアイエスエイ社から携帯電話の所持も禁止されており、不測の事態が生じた場合の緊急連絡先も宿泊先も生徒はわからないままだったのです。つまりメディアが肝心の生徒からの聞き取りを十分にすることなく、現地スタッフの偽りの話をそのまま流したことで、あたかも彼にも落ち度があるかのような印象を与える報道内容になってしまったのです。彼も他の生徒にも一切非がなかったことが判明した以上、誤った報道をしてしまったメディアの責任も大きいと思います。
これらのことからアイエスエイ社側のミスにより命の危険にさらされていた彼の当時の状況、誤報道によって尊厳が侵害されたこと、彼以外の生徒も深く心を痛めたことを考えると、和解金額の是非はさておき、学校側が責任の所在をはっきりさせたことは評価に値することだと思います。学校と生徒の保護者は帰国した生徒たちから話を聞いてはじめて事の真相がわかったのだと思います。事実を知るためとはいえ多くの時間と労力を費やすことは本当に面倒なもので、そういえば宮崎駿氏も「大事なことってたいていは面倒くさいものだ」と口癖のように言っておられましたよね。それにしても高校生の交換留学被害と同様、大人が自分たちのミスを子供に押し付けてまでトラブルを隠蔽することが一番の問題なのです。
(※)[トピックス]2013/08/31をご覧下さい。
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